なぞともカフェスタッフ・Sのリアルゲーム体験記
「タカラッシュ!調査団と悪魔の森の黄金ドクロ」編
探さない宝探し?
御徒町に終末が訪れたのだと思った。強烈すぎる日差しの暴力はアスファルトをじりじりと舐め、ついでにわたしのうなじも丸焦げにしようとしていた。暑さと眩しさで朦隴としていたらパパーッという破裂音が聞こえて、いよいよミカエルがラッパ鳴らしちゃったかなと思いきや車のクラクションだった。おかしい。わたしに訪れる予定だったのは、謎に満ちた楽しい週末のはずだったのに。殊更に暑かった土曜の真昼に、6月からエアコンフル稼働な夏嫌いのわたしが決死の覚悟で外出するほど行きたかったのは、『タカラッシュ!調査団と悪魔の森の黄金ドクロ』。
この夏東京・名古屋・大阪の3カ所で開催し、すでに東京での追加開催も決定しているという大人気なこのイベント。われらが店長の「失敗したけど楽しかったよ!」というお墨付きもあり、期待に胸膨らませながらJR御徒町駅に降り立った。そしたらすっごく暑かった。
東京エリアの開催場所であるオーラムは都営大江戸線・つくばエクスプレス線の「新御徒町駅」から徒歩2分という好立地なので、もし真夏日の昼公演に行く際はこちらの利用をおすすめしたい。会場内に入ればひんやりとした涼しい空気が出迎えてくれるので、ほんの少しの辛抱である。
そう、今回のタカラッシュ!の宝探し、いつもとは一味違う。
なんと"室内型宝探し"なのだ!!
いわば"探さない宝探し"なのだ!!!
なにパンはパンでも食べられないパンはな~んだ?みたいなこと言ってるんだろう、と思った方もいらっしゃるかもしれない。フライパンだよ!!!
配属:暗号解読班!
そんなことはさておき、「宝探しは宝探しでも探さない宝探しってな~んだ?」という皆様の疑問に答えていきたい。
Q.結局宝は探すんですか?
A.探します。我々は何を隠そう『タカラッシュ!調査団』ですからね!今回のターゲットは滅亡したとある王国に伝わる伝説の秘宝・その名も轟く黄金ドクロです!
Q.参加者が探すんですか?
A.いいえ!わたしたちは探しません。今回現地で黄金ドクロを捜索してくれるのは、ヅメ隊長率いる現地調査班のみなさんです。第一わたしパスポート持ってないので現地調査は無理です。
Q.タカラッシュ!調査団について詳しく教えてください。
A.調査隊は『現地調査班』『暗号解読班』『情報収集班』の3つに分かれており、参加者は全員『暗号解読班』に配属されます。『情報収集班』が集めてくれた情報をもとに暗号を解読し、それをもとに場所や探索に必要なアイテムを『現地調査班』に指示するという役割です。つまり快適な屋内でほとんど動かず宝探しが楽しめるという、夢のようなイベントなのです!
Q.説明が分かりにくい。
A.そんなあなたにとっても分かりやすい例えを出します。クロッ〇タワーで言うところのジェニファーが現地調査班で、カーソルが暗号解読班です。そう!我々はカーソルです!
どうだろう、カーソルになりきるイメージは掴めただろうか。ちなみに今回の公演、事前の情報量がかなりボリューミーなので要注意。今まで参加した公演型イベントの中だと一、二を争うほど長い。ラブ◯ントムのイントロより長い。開演ギリギリの到着は自らの首を絞めることにもなりかねない。その点チームなぞとも(今回はスタッフCとわたしの2人)はほぼ開場時間に到着し、
「今日暑いね~」「うん、暑い」「……ほんと暑い」「ね、ほんと」「なんでこんな暑いの?」「まあ夏だからね」「それにしても…今日暑いね~」
という会話の無限ループに陥り15分を無駄にしてしまった。
チームメイトは強い味方❤
やっと会場に入り席についてみると、控え目に言っても小冊子といった厚みの資料と、バインダーが2つ、封筒が1つ。真ん中に大きな地図。ロビーで涼んでいる場合ではなかった!と気づいた時には後の祭り。
幸運にも同じグループになった女性3人組がざっと目を通してくれていたので、ゲームの進行はかなりスムーズだった。地獄に仏、インフェルノにもベアトリーチェである。本来は6人1チームだが、今回はこの5人で挑むことになった。
通常チケットの以外にも、テーブルチケットや、お子様に合わせた難易度設定のファミリーチケットも用意されている。テーブルチケットは1枚で6名まで参加できて他の人と一緒になることがないので、俺は何にも縛られたくない!自由に謎を解くぜ!という方や、単純に6名集めれば1人頭400円もお得なことに気づいてしまった方にはおすすめだ。
さて、グループでの自己紹介タイムもそこそこに早速オープニングのアニメーションが始まった。今回我々が配属されるのは暗号解読班だが、現地調査班&情報収集班の面々もかなりキャラクターが立っていて面白い。イベントサイトに紹介されているのでぜひ見ていただきたい。わたしのお気に入りは何といってもオッティである。バッシーとトミーはシルエットが似ていて2Pカラーのようだが、それぞれ別のキャラなので注意されたし。
そんなこんなでその他注意事項の伝達がおわり、いよいよゲームスタート!
分刻みの宝探し、その結果は…
現地調査班に依頼できるのは全部で8回で、1回ずつ時間が区切られている。まさに分刻みのスケジュール!謎を解きつつ指示を出しつつ、返ってきた調査結果を吟味しつつ、といった具合でタイトなジーンズより捻じ込まれてくるので覚悟して臨んでほしい。でもその忙しさもまた一興!遠隔操作はいつもの宝探しとはまた違った緊迫感があるし、普段なかなか味わえない『人を顎で使っている感』も楽しめる。
常に時間を気にしながらの進行だったためか、あっという間に最終調査依頼の時間になってしまった。本当に「えっもうそんな時間?」と思わず口に出てしまうくらいあっという間だ。余裕を持ってバインダーを提出し、5人でそわそわしながら残り時間を過ごす。タイムリミットぎりぎりまで情報を整理して、たぶんあれで合ってるはずだと確認しても、解説が始まると急に自信が萎んでくるのは毎度のこと。もう半ば祈るような気持ちで待っていると、なんと!我がチームの現地調査班は無事、黄金ドクロを手に入れていた!!
後から分かったことだが、同じチームの女性3人は今回が謎解き初挑戦だった。しかし謎はばりばり解いていたし、すぐ脱線しようとするわたしを軌道修正してくれていた。アニメーションや小道具もとても凝っていて世界観に入り込みやすく、謎の難易度もほどよく、且つグループ内での協力が必要不可欠なので、初心者から玄人まであまねく楽しめる公演になっている。
この夏一番短い1時間になること請け合いな『タカラッシュ!調査団と悪魔の森の黄金ドクロ』、ぜひ体験してみてほしい。

名前:なぞともカフェスタッフ・S
ゲーム大好き❤現役女子大学院生
目を閉じている時の方が可愛いと言う店長の言葉を真に受け、半眼が板についてきた。影でブッダと呼ばれていることを本人はまだ知らない(脱出成功は”解脱”)。
座右の銘は「人間はひとくきの葦にすぎない。だが、それはゲームする葦である」