なぞともカフェスタッフ・Sのリアルゲーム体験記
「怪盗クロタマゴからの挑戦状 ~星降る夜の謎解き迷宮~」編
ホテル大箱根へGO!

来た……!遂に来たぞ!豪華ディナーブッフェ付き謎解きイベントの取材依頼が!!
しかも給料日一週間前、わたしが100円〇ーソンの大入りビスケットで飢えを凌いでいるまさにそのタイミングで!今回ばかりは店長から後光が射しているようにしか見えなかった。心なしか薬師如来に似てきている気もする。
「最寄駅からの乗り換えは、3回以上で小旅行」と常日頃から標榜している出不精のわたしが、遠足前日の小学生のように胸をときめかせながら床に着いた前夜。取材で温泉を訪れるなんて金輪際ないかもしれないので実家の祖母に電話をかけた。
「もしもしおばあちゃん?明日仕事で箱根行くから記念に電話したよ」
「お前ひさしぶりに連絡してきたと思ったらそれかい。ところで仕事ってなにするのよ」
「……えっと、事件の捜査?」
翌朝には叔母から「探偵の仕事してるって聞いたけど本当?」というLINEが来ていたので、Sファミリーは伝言ゲームに向いていないことが判明した。
箱根湯本の駅で下車すると、きりっと涼やかな空気が出迎えてくれた。駅からは箱根登山バスでだいたい30分ほどの道のりだったが、三半規管が虚弱なら酔い止めを飲んでおくことをおすすめする。個人的には乗車前にタイムリープして己におすすめしたいところである。
辿り着いたホテル大箱根(プリンスホテルズ&リゾーツ)は象牙色の瀟洒な洋館といった風情で、どこまでものどかだ。ラウンジから臨む山々の大パノラマを横目に受付を済ませる。
クロタマゴ史上最高難度!?

今回挑戦する「怪盗クロタマゴ」シリーズといえば、なぞともカフェのカップNAZOとしておなじみだが、ホテル大箱根での回遊型公演も3作目となる。シリーズ最高難度という前評判にビビりながら、フロントで封筒を受け取った。
解決までの所要時間、目安は200分とのこと。開始時間は午後2時。ブッフェの予約は午後5時半。なんという完璧なスケジューリング。楽しく謎を解いたあと素敵な晩ごはんが私を待っているなんて、今が人生の絶頂かもしれない。
謎を解くにあたっては夕食の準備が始まるまでラウンジのテーブルを使わせてもらえた。資料が多いのでこういった配慮はとても嬉しい。スペースをふんだんに使いつついざ、捜査開始!
……と意気揚々取り出した用紙には「逮捕状」の3文字。なんと初っ端から宝石泥棒の容疑を掛けられてしまっている!今まで一緒に捜査をしてきた(はずの)センゴク警部までもがわたしを疑う始末。ホテルのオークションから宝石をすべて盗み取った怪盗・クロタマゴは変装の名手。真犯人を見つけないことには、わたしが逮捕されてしまう!早速、手がかりを探しに館内へ繰り出した。
ホテルの中では容疑を晴らしたい名探偵たちがすでに奮迅中。家族連れからカップルまで幅広い層が捜査している。謎はシンプルなものからカラフルで賑やかなものまでさまざまで、わたしがある謎の前で悩んでいると、お父さんと2人で来ていた小さな女の子がヒントをくれるなんてこともあった。
紙面とにらめっこするだけではなく、いろんなギミックが用意されているのでプレイ時間が長くても疲れないし、普段入らないような場所を捜索するので全く飽きない。ただし!一筋縄ではいかないこと必至。
謎解きは絶食のあとで……

最初なかなかいいテンポで進んでいたため「晩ごはんの前に温泉入れるかも!?」なんて調子に乗っていたわたしだが、進む毎に上がる難易度に呆然。ラウンジでおいしい煎茶を啜りながら現実逃避していたらあっという間にブッフェまで残り30分になっていた。解答の提出期限は22時。まだもう少し余裕はあるが、できることなら解決後の開放感の中で存分にごはんを満喫したい……!
ここに来てブッフェに備えて前日の晩ごはんを抜き且つ朝から何も食べてなかったことと、空腹のため一睡もできなかったことでわたしのドラゴン〇ール気質が目覚めた。サ〇ヤ人は死の淵に瀕するほど強くなる。わたしも体調が悪いほど謎が解ける!
圧倒的ステータス異常とホテルのスタッフさんからいただいたヒントにより、なんとか最終解答を絞り出した。結果は無事、事件解決!
相変わらず詰めは甘かったものの、濃厚すぎる3時間半に達成感もひとしお。あの時ならカメ〇メ波出せたかもしれない。
ディナー&温泉天国

ボリュームたっぷりな謎と仕掛けの余韻に浸っていると、待ちに待ったブッフェの時間がやってきた。和・洋よりどりみどりの料理が所狭しと並べられている。やっぱり今が人生の絶頂かもしれない。どれも本当に本当においしくて、特にその場で焼いてくれる鉄板焼きはたぶん天が与えたもうた奇跡の食べ物だと思う。
毎度写真を撮ろうと思うのに肉を目の前にするとそんなことはすっかり忘れてしまい、食べたあと思い出してまたもらいに行くという行為を計5回繰り返したのに結局最後まで撮れなかった。すみません。生ハムの写真ならあります。
食後に温泉も入って、その日は幸福感に包まれながら就寝した。東京に戻ったらビスケット生活が待っているので一生箱根にいたかったがそうもいかない。さようならセンゴク警部。さようならブッフェの肉。さようならわたしの人生のピーク。
今回は日帰りプラン(謎解き+温泉)と宿泊プラン(謎解き+夕・朝食付or朝食付)が選べるようになっている。日帰りプランはぐっとリーズナブルなので気軽に楽しめそうだ。濃密な謎解きと絶品の料理を味わいに、ぜひ訪れてみてほしい。

名前:なぞともカフェスタッフ・S
ゲーム大好き❤現役女子大学院生
目を閉じている時の方が可愛いと言う店長の言葉を真に受け、半眼が板についてきた。影でブッダと呼ばれていることを本人はまだ知らない(脱出成功は”解脱”)。
座右の銘は「人間はひとくきの葦にすぎない。だが、それはゲームする葦である」